大阪大は6日、昨年2月に実施した一般入試(前期日程)の物理で、出題と採点にミスがあったと発表した。
合否判定をやり直した結果、不合格とした30人を追加合格とした。
なぜ、入試から1年近くたってから発表なのか?
その詳細を暴く。
採点ミスの内容
ミスがあったのは、音の伝わり方に関する数式を求める設問。
解答を限定するための条件設定が甘いため、正答は3つあったのに、1つに限定していた。
問題作成者の意図としては、正答は1つのつもりで作っていたようだが、問題を検討してみると、正しい答えが3つでてきてしまった。
さらに、次の設問も、複数の解答があるのにかかわらず、それを考慮せずに作成しているため、問題が成り立たないお粗末さ。
この2問のため、採点をやりなおした結果、30名が追加合格に。
採点ミス発覚までの経緯
外部からメールでミスではないかと指摘を受けて、再検討してミスがわかったようだ。
メールで指摘を受ける以前にも、高校教員らからも不備を指摘されていたが、解答例が正しいと対応していたようだ。
その詳細は
2017年6月10日
高校教員らが参加した検討会で不備を指摘する意見が出た。
問題作成責任者らは自分たちの解答例が正しいと説明。
8月9日
外部から物理の問題の一部にミスがあるのではないかという指摘のメールが大学に届いた。
このとき大学側はこのメール送信者にミスはないと返信した。
12月4日
別の外部の人物から同じような指摘が寄せられた。
12 月19日から20日
問題作成責任者や副責任者とは別に4人の教員を加えて検討した結果、ミスが判明。
12月21日
採点やりなおし
追加合格者の詳細
追加合格となる30人の内訳は、
理学部4人、医学部2人、歯学部1人、薬学部2人、工学部19人、基礎工学部2人。
第1志望の学科で合格していたのに第2志望の学科に合格とされたのは、理学部1人と工学部5人、基礎工学部3人の計9人。
第2希望の学科で合格したした受験生は、阪大に入学している場合が多いと思うので、その場合、第1希望の学科にかわるので影響は少ないかもしれない。
しかし、問題なのは、入学せず他の私学へ入学した受験生や浪人した受験生である。
大阪大は次のコメントを発表している。
厳正、確実であるべき入試でこのような事態を引き起こし、深くおわびするとともに、当該の合格者や学生のことを最優先に考え、事情を考慮し、誠心誠意対応してまいります。
大阪大は新合格者全員に必要な補償を行う方針。
当たり前だが、今さら言われても と思うのは私だけでしょうか?
近年の入試採点ミス
2014年
東京都立高の入試で採点ミスが判明。
過去3年分を調査した結果、18校の受験生計22人が本来は合格点に達していたことが分かり、都教育委員会は校長ら300人以上を処分した。
2015年
中京大(名古屋市)6人を追加合格に。
大阪府立大(堺市)2人を追加合格に。
2016年
山口大と熊本大で、漢字の書き取り問題の答えが受験票に記載されているミスが判明。
全員を正解として採点するなどの対応。
最後に
入試問題を作るのも、採点するのも人間がやることなので、100%ミスをなくすのは無理かもしれませんね。
しかし。受験生は人生をかけて、必死に取り組んでいる。
そのため、大学や高校側は何度もチェックしているのだろうが、今回の阪大の件は、信じ難いミスではないか。
影響が30人にも及ぶのも異例であるし、早くから指摘を受けていたので、そのとき真摯に対応していれば、夏にはミスがわかったはずだ。
浪人していた受験生がいれば、夏休み前に遅い合格の嬉しい知らせが届いたと考えられますよね。
もっと早くという思いと、しっかりしてよって思いませんか?